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結婚の上方婚・下方婚

written by 齊藤 貴義 on

身分制度が存在した前近代社会では、異なる身分どうしの結婚は厳しく禁止されてきました。身分制度が否定された後もしばらくは、家柄や血縁にこだわる結婚が多く、裕福な家と貧しい家の結婚もごくまれなケースでした。現在、そのような結婚意識は薄れ、自由な恋愛結婚が社会的にも認められてきています。 しかし、自由な恋愛結婚の進展は、社会の様々な側面に影響を与えています。

結婚の上方婚・下方婚

結婚とは何かのページで、 自由恋愛を通じた結婚の成立が、結果として文化を媒介とした閉鎖的な通婚圏を形成しているという問題を見てきました。それでは、今度は純粋に本人の経済力を中心にして結婚の傾向を見てみましょう。下の表は、人口問題研究所が1995年に調査した男女別・年収別の未婚率をまとめたものです。

男性の年齢別・年収別未婚率
人口問題研究所 1995 「第2回人口問題に関する意識調査」
全 体 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳
なし
88.2
98.1
95.0
58.3
33.3
52.9
33.3
100万円未満
83.9
97.1
88.1
61.1
43.8
44.4
21.1
100-200万円未満
68.0
90.9
78.9
51.2
30.0
34.3
28.2
200-300万円未満
61.2
90.6
76.5
54.0
36.0
26.0
13.7
300-400万円未満
45.0
84.4
68.2
33.0
15.2
13.2
6.6
400-500万円未満
30.5
80.0
68.2
33.0
15.2
13.2
6.6
500-600万円未満
17.3
83.3
40.0
30.7
13.1
8.3
5.3
600-700万円未満
12.4
-
42.9
26.9
12.4
9.0
6.4
700-1000万円未満
4.9
100.0
23.1
12.5
6.6
4.1
2.2
1000-1500万円未満
4.6
100.0
60.0
16.7
2.8
1.4
1.6
1500万円以上
1.4
-
100.0
-
-
-
-
女性の年齢別・年収別未婚率
人口問題研究所 1995 「第2回人口問題に関する意識調査」
全 体 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳
なし
8.0
59.0
6.6
3.6
1.7
1.3
2.0
100万円未満
17.7
83.5
25.3
7.4
2.5
3.6
2.2
100-200万円未満
44.9
94.4
59.5
25.5
15.8
8.2
3.3
200-300万円未満
54.8
93.5
73.4
44.1
23.3
6.1
8.8
300-400万円未満
49.7
96.1
75.5
39.3
21.1
16.3
10.0
400-500万円未満
35.2
87.5
68.0
37.5
32.6
9.1
9.6
500-600万円未満
22.2
-
53.8
38.5
21.4
7.3
16.1
600-700万円未満
10.1
-
50.0
50.0
15.0
2.6
8.0
700-1000万円未満
14.1
-
100.0
33.3
25.0
4.8
7.1
1000-1500万円未満
19.0
-
-
-
-
-
28.6
1500万円以上
16.7
-
-
-
-
-
33.3

このデータを見ると、男性は年収が低い層ほど未婚率が高い傾向にあることが分かります。女性の方は男性よりも散らばっていますが、全体的に見て年収の高い層の未婚率が高い傾向にあります。このような未婚率の傾向は、結婚とは何かのページで学歴や出身階層などで確認した「女性の上方婚」と関係があると考えられます。つまり、女性の自分よりも上の属性の男性と結びつきやすい傾向が、年収にまで及んでいるわけです。

そうなると、どうしても年収の低い男性と、年収の高い女性は結婚が難しくなります。年収の低い男性は、結婚後の生活苦を覚悟してまで一緒になってくれる女性 を捜さなければなりません。また、年収の高い女性は、自分よりも年収が低い男性と結婚するとある程度今の生活レベルを下げる必要が出てきます。もちろん、 経済力とは無関係に、内面や容姿などによって結婚する人々もいます。しかし、内面や容姿にこれといって取り柄のない人はどうでしょうか。経済力のある層ならば、非社交性や消極的性格であっても、結婚できるチャンスに恵まれます。しかし、経済力のない層にとっては、非社交性や消極的性格は他で代替することが 困難であり、未婚になる可能性も増加します。


このような側面は、国際結婚の分野でも確認することができます。下の表は、国際結婚をした日本人について、男女別・国内国外別にそれぞれの相手国の割合を調査したものです。

国際結婚の相手国(国内1993年)
原俊彦 1995 「国際結婚とその周辺」 第5回日本家族社会学会セッション報告
日本人男性・外国人女性 日本人女性・外国人男性
韓国朝鮮
25.2
韓国朝鮮
42.1
中国
23.3
中国
11.7
米国
1.2
米国
21.0
フィリピン
31.8
フィリピン
0.9
タイ
9.6
タイ
0.3
ブラジル
3.1
ブラジル
2.2
ペルー
0.8
ペルー
1.2
英国
0.4
英国
3.4
その他の外国
4.4
その他の外国
17.2
国際結婚の相手国(国外1993年)
原俊彦 1995 「国際結婚とその周辺」 第5回日本家族社会学会セッション報告
日本人男性・外国人女性 日本人女性・外国人男性
韓国朝鮮
5.4
韓国朝鮮
7.6
中国
5.0
中国
9.2
米国
8.7
米国
29.9
フィリピン
2.3
フィリピン
2.9
タイ
2.6
タイ
1.2
ブラジル
50.7
ブラジル
10.2
ペルー
7.5
ペルー
1.3
英国
1.2
英国
6.1
その他の外国
16.5
その他の外国
31.5

地理的に近い関係にある韓国朝鮮や中国を除くと、日本人男性は東南アジアや南米などの発展途上国の女性と結婚する比率が高く、日本人女性は欧米圏の男性と結婚する比率が高くなっています。このことは日本と相手国との経済的・文化的背景と関係があると考えられます。日本では経済力が低くても、発展途上国にとってはかなり高い所得水準である場合があります。農村を中心に成立した第三世界との仲介結婚は、今や様々な業者が存在して都市部の男性にも広がっています。 仲介業者のうたい文句は、「今の日本人女性にはなくなったつつましやかさ」があることを強調する、つまり男性にとってコントロールしやすい女性であることを宣伝文句にしているようです。一方、最近はかつてほどではないとはいえ、日本人には欧米人にコンプレックスを抱いている人も数多く存在します。より高い場所を目指そうとする女性にとって、欧米圏の男性との結婚は、高次の生まれ変わりを意味するわけです。

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