教育委員会は、戦後の地方教育行政の中心を担う期待を受けて誕生しました。しかし、半世紀の歴史の中で、文部省(現:文部科学省)の推進する中央教育行政によって大きく権限が縮小され、形骸化の危機に直面しています。ここでは教育委員会の情報を収集すると共に、教育委員会の制度のあり方について考えていきたいと思います。
教育委員会とは何か
第二次世界大戦で敗戦国となった日本は、連合国軍総司令部の指導の元に、戦前の教育制度の抜本的改革を迫られることになりました。連合国軍総司令部は、戦前 の日本の教育行政が文部省を中心とした中央集権的な体制になっていることに注目し、それが民主的な教育行政の大きな妨げになっていると考えました。
『米 国対日教育使節団報告書』では、日本の教育制度について、「文部省は、日本の精神界を支配した人々の権力の中心であった。従来そうなっていたように、この 官庁の権力は悪用されないとは限らないから、これを防ぐために、我々はその行政的管理権の削減を提案する。このことは、カリキュラム、教授法、教材及び人 事に関する多くの現存の管理権を都道府県及び地方的学校行政単位に移管せらるべきことを意味する」「各都道府県に教育委員会が設立され、そしてそれは政治的に独立し、一般民衆の投票の結果選出された代表的公民によって構成される」べきであると提案しました。
さらに、『教育刷新委員会建 議』では、教育行政を刷新する留意点として、「官僚的画一主義と形式主義の是正」「教育における公正な民意の尊重」「教育の自主性の確保と教育行政の地方分権」を挙げ、「教育行政は、なるべく一般教育行政より独立し、かつ国民の自治による組織をもって行うこととし、そのために、市町村及び府県に公民の選挙による教育委員会を設けて、教育に関する議決機関」とする制度を提案しました。
1947年に教育委員会法が 制定され、すべての都道府県・市町村に教育委員会が設立されました。この法律では、教育委員会が地方自治の教育行政の中心とされ、タウンミーティング(市民集会)の流れを汲むアメリカの教育委員会を参考にした制度が採用されました。教育委員会は、地域住民の直接選挙によって選ばれた教育委員と、専門家として教育行政を担当する事務局を代表した教育長から構成され、地域住民による共同作業として教育を運営する責任を果たすものとされました。市民による教育の統制と専門家による科学的知見に基づく指導性とを調和させることが教育委員会の理念であったわけです。文部省と教育委員会の関係は、形式的に上下の関係を持つものではなく、相互に固有の役割を持つ対等な機関とされ、文部省の役割は指導助言的なものに限定されることになりました。
し かし、戦後の教育行政の歴史は、教育委員会の権限縮小と文部省(現・文部科学省)の権限拡大の歴史でもありました。1956年に、(1)教育の政治的中立 と教育行政の安定確保、(2)教育行政と一般行政との調和、(3)教育行政における国、都道府県、市町村の連携ないし確保を目的として「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)が成立し、教育委員会法は廃止となりました。
地 教行法によって、教育委員の選出は住民の選挙ではなく地方自治体の首長が議会の同意を経て任命するように変更となりました。教育委員会の独立性を高めるために用意されていた教育予算の提出権・原案送付権も失われました。この制度改革によって、教育委員会は行政への従属を強めていきます。
教育委員会の教育長も戦後を通じて役割が大きく変化しました。当初は専門的職員であることが求められ、教員免許状と並ぶ教育長免許状が必要であるとされてい ましたが、その制度も廃止となり、市町村の教育長については教育委員の中から選出されるようになりました。このため、教育長の果たす役割として期待されていた専門家としての助言役割は大きく低下し、教育委員会の討論による教育の運営役割も著しく衰退することになりました。また、地教行法では都道府県や指定都市の教育長の任命に際して文部大臣の承認が必要とされ、市町村の教育長も都道府県の教育委員会の承認が必要であると規定されています。
さらに地教行法では、文部大臣が教育委員会に対して、違反の是正や改善のために必要な措置を講じることができるとする措置要求権、全国一斉学力調査の根拠となっている資料報告提出要求権なども規定されています。この措置要求権は、本来は対等な関係であるはずの文部省と教育委員会との関係に上下の序列をつける ものであるとする批判があります。
教育委員会の構成と権限
構成・・・ 教育委員会は、5人の委員をもって構成されます。ただし、都道府県や指定都市は6人に、町村は3人に、それぞれ条例によって変更することができます。委員たる資格は地教行法第4条によると、その地方自治体の首長への被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者でなければな らず、地方自治体の首長が議会の同意を経て任命すると規定されています。破産者で復権を得ない者、禁固以上の刑に処せられた者は委員になれません。また、 委員のうち半数以上が同一の政党に所属してはならないとされています。
権限・・・教育委員会は、地方自治体の教育に関する事務のうち、次に掲げるものを管理・執行します。
(1)学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること
(2)学校その他の教育機関の用に供する財産の管理に関すること。
(3)教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
(4)学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること。
(5)学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
(6)教科書その他の教材の取り扱いに関すること。
(7)校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
(8)校長、教員その他の教育関係職員の研修に関すること。
(9)校長、教員その他の教育関係職員並びに生徒、児童及び幼児の保健、安全、厚生及び福利に関すること。
(10)学校その他の教育機関の環境衛生に関すること。
(11)学校給食に関すること。
(12)青少年教育、女性教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること。
(13)スポーツに関すること。
(14)文化財の保護に関すること。
(15)ユネスコ活動に関すること。
(16)教育に関する法人に関すること。
(17)教育に係る調査及び指定統計その他の統計に関すること。
(18)所掌事務に係る広報に関すること。
(19)これ以外の、その地方自治体の区域内における教育に関する事務に関すること。

3月 4th, 2011 at 8:50 PM
地方自治法
市長の指名推薦で市議会が承認して選ばれた教育長が
教育委員会の部下でなく、一般行政に関わる(建設部会の職員)職員を
教育長が分限審議会・懲罰委員会に関与して職員を事情聴取できるのか?
最近、建設工事の契約事務処理上問題があったとして市長以下執行部に責任追及を議会で
している最中に、書類の不備を認めたがその責任を職員に押し付けようとして
教育長が関係職員を集めて分限委員会・懲罰委員会で調べているという経過報告を受けた。
教育委員会は、一般行政とは同列ではなく越権行為だと思うが教えてください。
現在副市長はいない、建設等の事務代行としては副市長の職務代理は総務部長が代理をしている。