フリーターの増加
2001年のフリーター人口は417万人
鳥取県(61万人)・島根県(75万人)・高知県(80万人)・徳島県(81万人)・福井県(82万人)の総人口を全部足した数よりフリーター人口の方が多い!非正規雇用者と就業希望無業者の間を移動している、いわゆるフリーター(雑誌リクルートフロムエーが命名)は、1982年50万人、87年79万人、92 年101万人、97年151万人、そして2001年には何と417万人と、飛躍的に増大しています。417万人といえば、全国で10番目に人口が多い静岡県の総人口を上回ります。
最近では、高等学校や大学を卒業して、そのままフリーターとなる若者が増加しています。フリーターはなぜ増えているのか、またフリーターとなった若者は一般にどのようなライフコースを歩んでいるのか、考えてみましょう。
フリーターが増加している背景として考えられているのが、長引く不況に伴う雇用状況の悪化です。特に新規高卒者の求人は、1992年に167万人を記録して から大幅に減少し、2001年には27万人まで減少しています。新規大卒者への求人は、高卒ほどは減少していませんが、1992年に84.0万人あった求人件数が2001年には46万人と、およそ半分に落ち込んでいます。大学卒業予定者のうち、民間企業への就職を希望者の数は、91年に29万人であったものが、2001年には42万人に増加しており、大卒者の供給過剰も雇用状態の悪化を招いているようです。このような状況下で多くの人が、自分の希望する仕 事への就職をあきらめてフリーターになっていると考えられます。
しかし、ずっとフリーターのまま30代、40代になっていく、という人は多くないようです。男性の場合でみると、20代後半にはおよそ8割以上が正社員となっています。それでは、多くの人がフリーターから正社員へと雇用形態を変えることになる要因とは何なのでしょうか?
フリーターというと毎日を気ままに過ごしているイメージがありますが、フリーターを対象にして行われた意識調査などの結果では、彼らが現在の職場に対して一般に低い評価をしていることが明らかとなっています。特に男性にその傾向が強く、技能を必要とされない単純労働、不安定な収入などの要因から、将来の見通しの明るさや進路選択の順調さ、周囲との関係についても低い評価を行っています。フリーターには、そのような自分の位置を「やりたいことを見つける」「自分探し」と自己規定して理念を発揚し、キャリア探索をはかろうとする傾向も存在します。しかし、フリーターから正社員となった人に理由を尋ねると、「やりたいことが見つかったから」という者は少なく、「正社員の方がトク」「年齢的に落ち着いた方がよい」という回答が多くなっています。
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このような調査を概観すると、学卒雇用への障壁や失望からフリーターとなり、キャリア探索を目指しつつも、現実には何もモノとならずに単純労働に明け暮れ、 最終的には正社員を目指していくという、「フリーターの一般的傾向」を予測することができます。もちろん、すべてのフリーターがこのパターンに該当するわ けではありませんが、「気楽なフリーター」「ずっとフリーターのままの人」はそれほど多くはない、ということをたえず念頭に置いておく必要があるといえま す。
それでは、フリーター経由で正社員になった人と、学卒後そのまま正社員となった人とでは、どのような違いが存在するのでしょうか。右の表は、 日本労働研究機構による「若者ワークスタイル調査」の結果を整理したものです。この表を見ると、フリーター経由で正社員となった人は、学卒後に正社員となった人と比べて、専門・技術や事務などの職に就く人は少なく、サービスや生産・建設・軽作業により多く就職していることが分かります。また、就職した会 社の規模も小さく、学卒後に正社員となった人よりも多く働きながらも、給与は彼らより1割程度も低くなっています。
多くの人にとって、フリーターを経由して正社員になることは、キャリア探索の面でも待遇の面でも不利になる選択となっています。このような結果となってしまうのは、一時的にフリーターとなる道を選んだ人々にとっても不本意なものでしょう。
フリーターの増加は、就職市場を巡る需要と供給の問題、キャリア探索の理念と現実の状況との情報の乖離、フリーター経由者に対する社会の視線など、複合的な要素が絡み合って発生しています。そしてまた、現実の日本の産業構造が今やフリーター抜きには成り立たなくなってきていることも注意する必要があるでしょ う。
